研究概要 |
フタル酸ジ-2-エチルヘキシル(DEHP)と塩化カドミウム(CdCl_2)を雄マウスに投与し、精子形成障害は惹起されないが精巣-血液関門{Blood-Testis Barrier (BTB)}の微小構造変化が起こる用量がどのくらいかを検討した。まず、8週齢ICR系マウスの雄に0.1%、0.5%、1%、1.5%DEHP含有餌を与え、2週、4週、6週、8週、10週後に屠殺し、取り出した精巣・精巣上体を光学顕微鏡にて観察した。その結果、DEHP投与期間・量が少なければ少ないほど、精子形成障害は軽度になる傾向があるものの、その毒物感受性にはかなり個体差があることが明らかになった。さらに個体により精子形成障害に伴い、リンパ球の浸潤が直精細管の周辺に観察された。また、8週齢A/J系マウスの雄にCdCl_2を1mg/kg、3mg/kg、6mg/kgの各濃度で腹腔内に注射し、2時間、12時間、24時間、72時間後に屠殺し、取り出した精巣・精巣上体を光学顕微鏡にて観察した。加えて光学顕微鏡で精子形成障害が観察されないものについて免疫組織化学法{Horseradish peroxidase (HRP)、Immunoglobulin G(IgG)}を行った。その結果、CdCl_2の6mg/kg投与群では光学顕微鏡にて精子形成障害が観察された。また、1mg/kg,3mg/kg投与群では光学顕微鏡下では精子形成障害が観察されないものの、72時間後にHRPとIgGが免疫組織化学法にて精細管の内腔に観察された。
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