研究概要 |
本年における研究実施状況とそれによって得られた結果は以下の通りであった. 1.正常および妊娠高血圧腎症(preeclampsia : PE)や子宮内胎児発育遅延(IUGR)におけるオートファジー遺伝子APG9L1とAPG9L2の胎盤発現の検討 APG9L1、APG9L2、NOS3の発現パターンを正常胎盤組織とIUGRおよびPE胎盤で比較する為に胎盤絨毛を1年間かけてPE3 3検体、正常27検体を収集した.既にRNAを抽出しており、定量RTPCR法で各遺伝子の発現量の比較を行った.まず正常検体でAPG9L2、NOS3の発現量が分娩週数によりどのように変化するかを検討した.その結果いずれの発現量も妊娠末期より急に上昇し妊娠40週を超えると低下し始める事が観察された.現在その結果の再検討と同時にPE検体との比較を行っている.またAPG9L1に関する検討も行っている. 2.PEに関連するオートファジー遺伝子多型検索 今回の結果をふまえ、正常妊娠女性、PE発症女性、それぞれの胎児のゲノムDNAにおける遺伝子変異、遺伝子多型をスクリーニングする準備をしている.本年度に抽出したDNAを使用し検索する準備を行っている. 3.正常およびPEにおけるオートファジー活性の検討 正常胎盤組織とPE胎盤組織におけるオートファジー活性を比較するため上記の検体を使用し抗LC3抗体を用いたウェスタンブロットを行う準備を行った.また古典的解析法である電子顕微鏡的検索の為の検体収集も行っている. 4.胆モデルマウスを用いたPEとオートファジーの関わりについての検索. PEモデルマウス(p57 KOマウス)とWTマウスより各妊娠段階(13.5dpc, 15.5dpc, 17.5dpc)における胎盤を収集した.RNAを今後抽出し定量RTPCRでAPG9L1、APG9L2、NOS3の発現パターンをヒトのデータと比較する予定である.
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