研究課題
我々は子宮内膜癌細胞のプロゲステロン(P4)による増殖抑制において、癌抑制遺伝子産物p27の発現が重要であることを見出したが、今回我々はp27の発現調節機構をin vitroで検討した。まず、培養正常子宮内膜腺上皮(NE)細胞にP4を添加したところ、濃度依存性にp27の発現増強とp27分解に関与するユビキチンリガーゼであるSkp2発現の低下が観察された。この変化はプロゲステロン受容体(PR)阻害剤であるRU486の添加によって抑制された。またNE細胞にSkp2 antisense-oligo DNAを導入したところ、Skp2蛋白発現低下とp27蛋白発現増強が認められた。これらの結果からNE細胞においてP4はPRを介してSkp2発現を低下させることによって、p27発現を増強させていると考えられた。一方、PR陽性の子宮内膜癌Ishikawa細胞にP4を添加したところ、Skp2発現の低下は観察されたがp27の発現増強は見られなかった。この一因としてIshikawa細胞におけるPR発現が弱いことが予想されたため、Ishikawa細胞にPRを導入した後P4を添加したが、Skp2発現の著明な低下は認めたもののp27発現増強は観察されなかった。従ってIshikawa細胞ではP4がPRを介してSkp2発現をコントロールしてはいるもの、正常内膜腺上皮と比較してp27蛋白発現量調節におけるSkp2-ユビキチンリガーゼ経路に対する依存性は低いことが予想された。同時にこの結果はIshikawa細胞においては正常内膜とは異なったp27蛋白調節系があることを示唆した。
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