研究概要 |
【目的】進行婦人科癌は未だ難治であり新たな治療戦略として免疫療法が期待される.そのapproachの一つに,CD25+CD4+制御性T(CD25+TR)細胞により維持されている免疫抑制の解除による免疫応答の強化があげられ,ヒト末梢血単核球(PBMC)よりCD25+TR細胞を除去することで婦人科悪性腫瘍細胞に対する傷害能が強化される.CD25+TR細胞の免疫抑制能に関与する分子としてマウスにおいてglucocorticoid-induced tumor necrosis factor receptor family(GITR)が知られており,実際に抗GITRモノクローナル抗体(mAb)を担癌マウスに投与すると,CD25+TR細胞の免疫抑制能の解除,effector細胞の強化の結果腫瘍が拒絶される.以上に基づき,婦人科癌に対し抗GITR抗体を用いる新たな免疫療法開発の端緒として,ヒトPBMCにおけるGITRの意義を検討した。 【方法】ヒトGITRを強制発現させた細胞株でマウスを免疫し抗ヒトGITRmAbを樹立した.健常人より同意下採取したPBMCを用い,この抗体がCD25+TR細胞の免疫抑制能,T細胞の増殖能に及ぼす効果をin vitroで検討した. 【成績】GITRはCD25+TR細胞および活性化helper T, cytotoxic T細胞において発現していた.CD25+TR細胞がhelper T, cytotoxic T細胞の増殖活性を抑制する現象は抗GITR抗体の用量依存的に解除され,helper T,cytotoxic T細胞の増殖活性も抗体の用量依存的に亢進した. 【結論】ヒトにおいてもGITRがCD25+TR細胞の免疫抑制能やeffector T細胞の活性化に重要な役割を担っており,抗GITR抗体によってCD25+TR細胞の免疫抑制能を解除し婦人科癌に対する免疫反応を惹起できる可能性が示された.
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