研究概要 |
インフォームドコンセントを得て採取した妊娠初期絨毛組織を酵素処理により、妊娠初期絨毛外トロホブラスト(EVT)を分離培養した。培養妊娠初期EVTを回収しmRNAよりcDNAライブラリーを作成した。CRH, UCN, SRP, SCP, CRHR1, CRHR2に対する特異的なprimerを作成し、作製したcDNAライブラリーを用い、RT-PCRを施行し、PCR産物をTAクローニングし、アミノ酸配列の確認をした。その結果、培養妊娠初期EVTにCRH, UCN, SRP, SCP, CRHR1, CRHR2発現を確認した。 また、特異的抗体および中和ペプチドを添加した特異的抗体を用い比較することで、培養妊娠初期EVTでのCRH, UCN, SRP, SCP, CRHR1, CRHR2タンパク発現を確認した。 培養48時間後での培養妊娠初期EVTの無血清培養系にCRH, UCN, SRP,SCPを添加(10nM〜100nM)し、培養72時間後での培養妊娠初期EVTにおけるVEGFなどの血管新生関連因子のmRNA発現におよぼす影響をCRHR1, CRHR2のアンタゴニストであるantalamine, anti-sauvagineを添加し、realtime RT-PCRで検討した。CRH, SCP添加群では、非添加群のコントロールに比較して、濃度依存性にVEGF発現を抑制することを認めた。また、CRHR1, CRHR2を受容体として持つCRHにおいては、antalamine添加ではVEGF発現の抑制は回復せず、anti-sauvagine添加でVEGF発現の抑制が回復した。またCRHR2を特異的受容体として持つSCPは、anti-sauvagine添加でVEGF発現の抑制が回復した。以上より、CRH, SCPは、CRHR2を介して、培養妊娠初期EVTにおけるVEGF発現を抑制することが明らかとなった。
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