研究概要 |
子宮内膜症の発生機序として月経血逆流による子宮内膜移植説が広く受け入れられている。しかし、月経血の逆流現象は多くの女性に認められるのに、子宮内膜症は一部の女性にしか発症しない。したがって、月経血逆流説のみでは子宮内膜症の発生機序は説明できない。 正常な子宮内膜は子宮外に移植されても生存・増殖しないが、子宮内膜症ではapoptosisの制御に異常が生じることにより、子宮内膜症細胞が子宮外でも生存・増殖し、子宮内膜症の病態が形成されると考えられる。我々は、子宮内膜症細胞がinterferona γにより誘導されるアポトーシスに抵抗することを報告し、また、このアポトーシス耐性というところに着眼し、の治療薬となるべく薬剤について数種類検討した。 今回、生薬であるBufalin,β-hydroxyisovalerylshikonin(β-HIVS)に着目し、これらの薬剤が子宮内膜症細胞の細胞周期を停止させ、アポトーシスを誘導することを発見した。さらに、この現象は、正常子宮内膜症細胞には効果が低く、子宮内膜症細胞により特異的であったことも示し、治療薬としてはより有効であることが示唆された。この2剤について論文にまとめ、下記に掲載された。今後、動物実験等を経て、実際の薬剤として臨床的に用いられるよう実験を進めていく予定である。 また、NF-κBの阻害薬であるBAYが同様に子宮内膜症の治療薬として使用できるか検討中である。
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