子宮頚癌、子宮体癌およびコントロールとして子宮筋腫の患者の手術標本より一部検体を採取し、DNAを単離している。子宮頚癌は月に約5検体、子宮体癌は月に約6検体、子宮筋腫は月に約10検体が採取され、研究に用いている。同時にパソコンに症例ごとの臨床データを集積している。尖圭コンジローマの症例は少なく、手術対象となるような症例もほとんど無いため、検体の採取は困難である。次に子宮頚癌患者では、MPCRキットを用いたPCR法を用いてHPV感染の有無、型判定を行っている。さらに、DNAを重亜硫酸処理し、メチル化特異的PCR法を用いてSOCS1遺伝子のメチル化の検討を行っている。重亜硫酸処理した検体は、その処理が煩雑で実験はやや難しい点が多い。プライマーの設定を変えながら検討している。現時点では、数的に十分な検討ができないが、新しい知見としては、コントロール群でSOCS1がメチル化されているものは見られていないということである。しかし、子宮頚癌、子宮体癌症例でも予想していたほどSOCS1のメチル化は見られないようである。SOCS1のメチル化されている頻度が低いのか、プライマーの設定などの問題かははっきりしない。 HPV E5の研究では、ウエスタンブロットの手間が非常に煩雑であり、特に従来のフィルムに蛍光法で焼き付ける方法では時間的な制約・問題が大きいため、アトー製のケミルミ撮影装置を購入し研究に利用している。これによりPCRの結果判定も従来のインスタントカメラを用いた方法よりもすばやく行えるようになり非常に有用である。HEK293細胞で発現を確認しようとしているが、分子量の小さなたんぱく質であり、検出が難しい。発現ベクターを変えて検討を続けている。
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