研究概要 |
ICRマウスを妊娠させ、妊娠8.5または9.5日にmouse sFLt-1発現アデノウィルスベクターを尾静脈より投与することで、妊娠16.5日または妊娠17.5日目に高血圧、尿蛋白、糸球体内皮症様腎組織像を呈する妊娠高血圧腎症モデルマウスが作成できた(2008年10月日本妊娠高血圧学会、2009年4月日本産科婦人科学会学術集会にて発表)。さらにこのモデルから妊娠16.5日または17.5日目採血を行い、血漿中のmouse VEGF、mouse PlGF-2をELISAにて測定すると、mouse PlGF-2は変化無かったが、mouse VEGFのみが低下していた。これよりこのモデルにおける高血圧、蛋白尿の変化は、mouse VEGFに寄与する可能性が考慮される。 また、human PlGF発現ウィルスベクターを同時投与する予定であったが、humanとmouseのPlGFのhomologyは65%と低いため、同時投与しても反応性がないと考えた。そのため、recombinanat mouse PlGF-2,recombinant mouse VEGFを購入し、妊娠14.5から15.5日目から妊娠16.5から17.5日にかけて12時間毎に投与し、血圧測定、尿を採取して、治療効果を現在検討途中である。また心臓採血、腎臓、胎盤を摘出し凍結標本を作成しており、今後血漿中の物質の変化や組織像の変化を検討する予定である。 さらにsoluble endoglin発現アデノウィルスベクターを作成し、妊娠マウスにmouse-sFlt-1発現アデノウィルスベクターと同時投与する予定であった。現在soluble endoglin発現アデノウィルスベクターのプラスミド作成まで進行中である。
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