本年度は、前年度までに得られたUCHL 1mRNAの個々の卵子における多寡が、卵子のqualityに関与している可能性を検討するために、定量的PCR法および遺伝子発現マイクロアレイを用いて定量を行うとともに、マウス卵子の加齢におけるUCHLlmRNA量の変化について検討を行った。ここでマウス卵子一個から抽出されるRNAは800pgと極微量であり、まずmRNA定量の信頼性を検討するため、8週令BDF1成熟メスマウス単一卵子よりTrizol抽出したtotalRNAを、我々が以前デザインしたPCR primer、およびTaqman probeを用いて定量的real-time PCRを行った結果、後者の再現性・信頼性が飛躍的に高いことが明らかとなった。次に、UCHL1のtotalmRNA中に占める割合を検討するため、BDF1マウス単一卵子より抽出したtotalRNAを試料とし、新しい遺伝子増幅法であるRibo-SPIA法にて遺伝子増幅し、UCHL1の増幅効率を他の遺伝子と比較したところ、マウスに高発現するHlfoo、Eefl αなどの遺伝子とその増幅効率は変わらず、Ribo-SPIA法が遺伝子構成比を変化させることなく約10000倍に遺伝し増幅をすることが可能であることが明らかとなった。最後に、若齢(8週)および高齢(60週齢)マウスで単一卵子を遺伝子増幅後に増幅産物をWhole Mouse GenomeオリゴDNAマイクロアレイにて解析したところ、UCHL1の卵子内全RNAに対する構成比は加齢とともに低下することが明らかになった。
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