スギ花粉症を対象として制御性T細胞のアレルギー性鼻炎における役割を解析した。 HLA-DP5を有するスギ花粉症患者(スギ特異的IgEと臨床症状によって決定)より採血を行い、末梢血単核球を分離した。これをHLA-DP5拘束性のCry j1由来ペプチドp61-75或いはp211-225とサイトカイン非存在下に一週間共培養したのち、これらペプチドに対する反応をIFN-gamma、IL-5及びIL-10のELISPOT assayによって解析した。更に培養前後で制御性T紬胞の機能に関与するFoxP3遺伝子の発現変化をreal time QRT-PCR法によって解析した。 スギ花粉症患者では末梢血単核球はCry j1由来ペプチドに対して多くがTh2反応(IL-5産生)を示した。更に血清中のスギ特異的IgEの抗体価とIL-5のspot数は正の相関を認めた。一方、Cry j1由来ペプチドに対して有意なIL-10産生は示さなかった。 一方、健常人ではCry j1由来ペプチドに対して無反応かTh0、Th1反応を示した。 スギ花粉症及び健常人で抗原として用いたCry j1由来ペプチドに反応を示さなかった例では培養前後でFoxP3遺伝子の発現がTh2反応を示したスギ花粉症患者に比べ有意に増強していた。このことより制御性T細胞特にFoxP3+制御性T細胞によってアレルギー反応を制御できる可能性が考えられた。 現在制御性T細胞を除去した系及び中和抗体を用いた系にて、Cry j1由来ペプチドに対する反応が増強するか否かを検討中である。
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