HLA-DP5拘束性Cry j 1-derived peptide p61-75にてHLA-DP5+のスギ花粉症患者を含むドナーの末梢血単核球を刺激し、IFN-γ及びIL-5 ELISPOT assaysにてTh responseを評価した。同時に制御性T細胞(Treg)のマーカーであるFOXP3の遺伝子発現の変化を抗原刺激前後で調べた。アレルギー患者のほとんどはTh2優位な反応を示し、Th2 responseとCry j1特異的IgEは正の相関を認めた。Tregに関しては以下の結果を得た。(1)スギ花粉症患者と非アレルギー患者で末梢血単核球におけるFOXP3の発現に変化を認めなかった。(2)Th responseを示さなかった例では刺激前後でFOXP3発現の変化が大きく、この分子のTh responseに対する影響が示唆された。(3)中和抗体を用いた実験ではanti-GITR抗体の添加によりno responseのドナーでTh responseの増強を確認できた。(4)Treg(CD4+CD25+)を除去した培養系では、Cry j1特異的Th responseの増強を認めた。これらの結果より、FOXP3+ T細胞のアレルギー反応抑制への関与が示唆された。 現在、(1)スギ花粉症患者及び非アレルギー患者の末梢血単核球よりCD4+CD25+Tregをマグネットビーズにて分離し、IL-2/10/15、Rapamycin存在下に増殖させanti-CD3/CD28によるT細胞増殖反応に対する抑制効果の検討、及び(2)FOXP3遺伝子をsiRNAにてノックアウトした系におけるアレルギー反応の変化を検討中である。 一方、もう一つのTregであるIL-10産生制御性T細胞(Trl)についても着目している。最近の報告では抗原特異的IL-10産生そしてFOXP3+Tregの存在が示されている。我々の中和抗体を使った実験でもanti-IL-10抗体の存在下でアレルギー反応の増強を認めたことより、スギ花粉症に関してもこのようなタイプのTregの存在は充分考慮できるものである。そのため、現在Cry j1特異的IL-10産生細胞の同定を試みているところである。
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