スギ抗原分子に対する制御性T細胞の関与について、スギ花粉アレルギー患者血清より分離した単核球を用いて解析した。スギ特異的IgE値と臨床症状の有無で対象患者を選択し、末梢血単核球に、スギ花粉のCry j1由来ペプチドを混合培養した後、抗原ペプチドに対する反応を、各種サイトカインの分泌量から解析し、クローン樹立を試みた。 Treg細胞(CD4+CD25+T細胞)タイプのクローンを選択し、Cry j1特異性を確認した後に、各種サイトカインに対する反応、増殖能について調べた。Treg細胞はマグネットビーズを用いて分離し、T細胞のCry j1特異性はELISPOTとELISA法で調べた。 健常人由来のCry j1特異的T細胞クローンは、Cry j1由来ペプチドに対して、主に無反応、まれにThOもしくはTh1の反応を示した。スギ花粉患者由来のCry j1特異的T細胞クローンは、主にTh2反応をした。これは、過去2年の研究で、スギ花粉症患者ではスギ由来の抗原ペプチドに対して多くがIL-5を産生するTh2反応を示したことと同意義である。対して健常人では、無反応かThOかTh1応答を示した。健常人由来のクローンはサイトカインを分泌しないが、スギ花粉症患者由来のクローンではIL-5を分泌する傾向にあった。特にTreg細胞タイプのクローンではIL-5の分泌が著しいものが目立った。
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