研究概要 |
従来より前庭感覚細胞の求心性神経終末には、シナプス関連蛋白、神経活性物質の存在が知られており、遠心性の機能も併せ持っていることが推測されている。その中で、可塑性関連物質に注目した結果、興味あることにこれらSyntaxin, CREB, PSA, HNK-1といった可塑性関連物質はすべて求心性第一次ニューロンに存在しており、末梢前庭系の可塑性に重要な役割を果たしていることが示唆されている。 これまで平衡機能の代償は中枢で行われているとされてきたが、末梢前庭においても代償機能がある可能性が考えられる、特に求心性第一次ニューロンが末梢前庭系の可塑性に重要な役割を果たしている可能性がある。 そこで今回我々は、末梢前庭における可塑のメカニズムを明らかにするために本研究を企図した。 数十に及ぶ可塑性関連物質遺伝子発現の重力変化に対する変化を網羅的にreal-time PCR法で検証することが第一目的であった。試料は、かつて我々の研究に用いた過重力負荷およびコントロールのラット内耳から抽出したcDNAを用いることを企図していたが、保存試料そのものに問題があり、結局使用を断念せざるを得なかった。 また、過重力負荷およびコントロールのマウス側頭骨を得る機会があり、株式会社バイオマトリックス研究所に抽出依頼をすることが出来たが、マウス側頭骨では良質なcDNAを採取出来なかった。 第二の目的である、可塑性関連蛋白の内耳末梢前庭器においての局在については、レーザー,電子顕微鏡レベルで検討を行うべく、準備を進めている。
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