細胞外マトリックスに関連した遺伝子の変異解析 <目的> 我々は最近世界に先駆け難聴患者におけるIX型コラーゲンの変異スクリーニングを行い、3家系に変異が認められることを報告した。現在これらの臨床症例の検討とともにIX型コラーゲンノックアウトマウスを用いた研究を行っており内耳の蓋膜を構成するIX型コラーゲンとII型、V型コラーゲン、α-tectorinなどの他の細胞外マトリックスとの相互作用に注目している。これまでに蓋膜を構成する細胞外マトリックスであるII型、IV型、XI型コラーゲンやα-tectorin、β-tectorin、otogelinなどの蛋白異常により難聴を呈することが報告されているが、共に蓋膜の構成蛋白の異常であるにもかかわらずそれらの表現型は様々であり、難聴のメカニズム解明にはさらなる変異解析と蛋白レベルでの解明が必要不可欠であると考えられる。 <内容> 蝸牛の蓋膜の構成成分であるII型、V型、IV型、IX型、XI型コラーゲンやα-tectorin、β-tectorin、otogelinについて、豊富な臨床症例をベースにした網羅的な難聴原因遺伝子の変異解析を行った。 <方法> 今までに収集した約3000症例のDNAサンプルをベースに、先天性難聴から後天性難聴まで様々な難聴患者を対象とした。直接シークエンス法により細胞外マトリックスに関連した難聴原因遺伝子の変異スクリーニングを行い、変異の同定されたものについては聴力の正常なコントロール群と比較検討した。 <結果> 現時点で新たな変異は同定されていないが、さらに変異スクリーニングを継続して行っている。
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