研究概要 |
難聴モデルマウスを用いた細胞外マトリックスの内耳での局在解析 〈内容〉ゲノム解析が進んでいるマウスや蛋白質研究が進んでいるラットを使用した。また難聴モデルマウスとして,IX型コラーゲンノックアウトマウスを使用した。マウス及びラットをネンプタール麻酔下におき,共焦点レーザー顕微鏡による解析には4%パラホルムアルデヒドによる経鼓膜及び経心灌流固定を行って側頭骨を固定後,蝸牛及び末梢前庭器を摘出して凍結切片を作成。ABC法に従って難聴原因蛋白質に対する特異抗体(必要に応じてそれぞれ作成)と特異細胞に対する抗体などとの蛍光二重染色を行い,共焦点レーザー顕微鏡によって解析を行った。電顕レベルでの解析には4%パラホルムアルデヒド+0.5%(0.1%)グルタールアルデヒドにて外リンパ灌流及び経心灌流固定を行い側頭骨を固定後,蝸牛及び末梢前庭器を摘出し急速凍結,凍結置換法にて超低温下でアクリル樹脂(HM20)に重合,包埋し,超薄切片を作製した。現在,内耳に局在している数種類のコラーゲンについて解析し,その結果について検討中である。 〈意義〉我々は最近世界に先駆けIX型コラーゲン遺伝子変異による難聴について報告してきた。これまでに蓋膜を構成する細胞外マトリックスであるII型,IV型,XI型コラーゲンやα-tectorin,β-tectorin,otogelinなどの蛋白異常により難聴を呈することが報告されているが,共に蓋膜の構成蛋白の異常であるにもかかわらずそれらの表現型は様々であり,難聴の原因を突き止めるためには原因蛋白質が内耳のどの細胞内でどのような局在を示すのか,また他の共存する蛋白質との相互作用がどうなっているのかが明らかにされなければならないと考えられる。
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