研究概要 |
平成20年度は、優性遺伝形式をとる遺伝性難聴患者を対象に、細胞外マトリックス構成遺伝子について変異の検索を行なうとともに、臨床情報との比較検討を行い、遺伝子変異と難聴との関連性について詳細に検討した。その結果、内耳に発現する細胞外マトリックスの構成成分のひとつであるTECTA遺伝子の新規変異を2家系より見出した。2家系はいずれもZPドメイン領域の変異であり、臨床的には進行性の中音域の難聴になることが明らかとなった(moteki, et.al., 投稿準備中)。 また、認められたTECTA遺伝子変異の機能解析を目的として、オワンクラゲ緑色蛍光タンパク(GFP)との融合タンパクを作成し、培養細胞に導入し細胞内の局在の解析を行った。その結果、日本人難聴患者より見出された変異のいくつかは、細胞質に局在し、細胞膜に移行しないことが明らかとなった(moteki, et.al., 投稿準備中)。従って、細胞外に分泌されないことにより、蓋膜の構成成分が異なることにより難聴となることが示唆された。また、他の細胞外マトリクス構成蛋白質の候補として、各種のコラーゲンについて、内耳での発現をリアルタイムPCRで調べるとともに、いくつかについては組織免疫染色法を用いて内耳における局在を検討している。また、難聴モデルマウスとして、IX型コラーゲンノックアウトマウスを用い、難聴原因遺伝子の賛成する蛋白に対する特異抗体と特異細胞に対する抗体の蛍光2重染色を行い、蛋白の局在を明らかにした。
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