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2006 年度 実績報告書

一過性内耳虚血障害に対する骨髄幹細胞の再生医療

研究課題

研究課題/領域番号 18791216
研究機関愛媛大学

研究代表者

兵頭 純  愛媛大学, 医学部附属病院, 講師 (30423453)

キーワード造血幹細胞 / 虚血性内耳障害 / 内有毛細胞 / GDNF / スナネズミ / 神経栄養因子
研究概要

幹細胞は自己増殖能と多分化能を持ち、多種多様な組織・臓器になる能力を有することから、目的の細胞に分化誘導して障害部位を再生し機能回復させると推察される。最近の研究によると、障害部位に投与された幹細胞は神経栄養因子を分泌して障害の進行を防御する効果もあることが示されている。このため、急性期の幹細胞投与は神経栄養因子の合成促進を通して内耳障害を防御することが期待される。造血幹細胞は自己の骨髄より比較的容易に採取・分離ができ、倫理面や移植免疫などの問題もないため、最も臨床応用に適した供給源と考えられる。
本研究ではスナネズミの一過性内耳虚血性モデルを用い、造血幹細胞を蝸牛内に投与して内耳障害の防御効果を検討するとともに、神経栄養因子の発現について検討した。造血幹細胞の投与により内耳虚血によるABR閾値上昇が有意に抑制され、内有毛細胞の脱落も有意に抑制されており、造血幹細胞は虚血性内耳障害に対して防御効果を認めた。防御効果の機序として、注入した造血幹細胞が有毛細胞に分化あるいは障害細胞と融合し機能を回復する可能性があり、また別の機序として造血幹細胞が栄養因子を分泌、産生を活性化することにより内耳を保護、修復するとも考えられる。本研究では造血幹細胞は外リンパ腔に存在しており、有毛細胞へ分化転換、融合はみられず、造血幹細胞投与により内耳でGDNF発現増加が認められた。GDNFはグルタミン酸神経毒性の軽減、フリーラジカルの産生抑制、アポトーシス誘導カスペースの抑制などの作用により内耳に対して保護効果を示したと考えられる。したがって造血幹細胞はGDNF産生を促進し虚血性内耳障害を防御することが示され、造血幹細胞の投与が内耳障害に対して有用となりうる基礎的裏付けが得られた。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2007 2006

すべて 雑誌論文 (3件)

  • [雑誌論文] Hematopoietic stem cells prevent hair cell death after transient cochlear ischemia through paracrine effects2007

    • 著者名/発表者名
      Yoshida T et al.
    • 雑誌名

      Neuroscience 145・3

      ページ: 923-930

  • [雑誌論文] Ginsenoside Rb1 protects against damage to the spiral ganglion cells after cochlear ischemia2007

    • 著者名/発表者名
      Fujita K et al.
    • 雑誌名

      Neuroscience Letter 415・2

      ページ: 113-117

  • [雑誌論文] 共焦点レーザー顕微鏡を用いたレーザー顕微鏡を用いたラセン板縁の可視化に関する研究2006

    • 著者名/発表者名
      兵頭 純 他
    • 雑誌名

      Audiology Japan 49・5

      ページ: 529-530

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公開日: 2008-05-08   更新日: 2016-04-21  

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