これまでの研究において、頭頸部癌培養細胞16細胞中9細胞(56.3%)と高頻度にexon 20でのsingle nucleotide polvmorphism(SNP)を認め、これはNational Center for Biotechnology Information(NCBI)SNPデータベースにrs1050171として登録されている。このSNPはsilent mutationであり蛋白質の一次構造には変化を与えない同義SNP(synonymous SNP)(Q787Q)と考えられているが、今回の検討ではEGFRG/A遺伝子型群はEGFRG/G遺伝子型群に比べて高いgefitinib感受性を示した。但し、頭頸部癌においてEGFRG/A遺伝子型がgefitinib感受性に影響する作用機序に関しては、EGFRの下流シグナル伝達経路であるRas-MAPK経路、STAT経路の検討からは明らかにすることができなかったものの、EGFR遺伝子コピー数、下流シグナル伝達におけるPI3K-AKT経路やabnormal splicingによる影響などの検討が考えられた. 非小細胞肺癌においてEGFR遺伝子のコピー数の高いものはgefitinibに対する感受性が高いことが報告され、EGFR遺伝子のコピー数の検討がgefitinib治療においては有用となる可能性も指摘されている。そこで頭頸部癌においてEGFRG/A遺伝子型がgefitinib感受性に影響する作用機序に関して、まずEGFRI遺伝子コピー数との関連性をFish法を用いて検討した。EGFR遺伝子コピー数とgefitinibに対する感受性においては相関性を認めなかったが、EGFRG/A遺伝子型群とEGFRG/G遺伝子型群との比較で有意差が認められた。検体数を増やしての更なる機序解明を行っている。
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