研究概要 |
ラットの甲状披裂筋を麻酔下に露出し,ここにDiIを注入,疑核運動神経細胞標識ラットの作成を行なった,引き続き,ラットの右反回神経を切断,術後の各時期に脳幹を摘出,30μm厚の切片を作成し,これを膜スライドに貼付した,今回の科学研究費補助により設置した落射蛍光装置によりDiI標識疑核運動神経細胞を確認しえた.この落射蛍光装置を用いDiI標識疑核運動神経細胞を含む切片をマイクロマニピュレーターを用いてトリミングし,標識神経細胞を単一細胞レベルで採取した. この疑核運動神経細胞からtotal RNA抽出を行い,それを元に第1鎖cDNA合成とそれに続くPCR反応による全cDNA増幅を行なった.単一細胞レベルでも十分なcDNAを得ることができた. つづいて単一細胞由来cDNAを用いたサブトラクションPCR法による発現変動遺伝子群の網羅的スクリーニングをおこなった.cDNAを用いてサプレッションサブトラクションPCR法により発現上昇した遺伝子群のcDNA断片の濃縮を行ない,それらをクローニングした,各時期のcDNAクローニングを現在施行中である. サプレッションサブトラクションPCR法の結果が不明瞭な部分があるため,この手法の更なる精度の上昇を目指しいくつかの条件設定を繰り返しつつある. 今後これらにより得られたcDNAクローンについて塩基配列決定を行ないデータベース検索により対応する遺伝子を明らかにし,そのプロモーター領域にStat3結合部位を持つ遺伝子群を抽出する予定である.
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