1.PCR法による肺炎球菌血清型の分類 肺炎球菌標準株を用い、血清型分類を多糖体抗原特異的な抗血清による標準分類法とmultiplex PCR法による肺炎球菌血清型分類の両者の比較検討を行っている。現在までに、急性中耳炎の主な血清型である6型、19型、18型、23型、1型、19F型、3型、14型、23F型、4型、19A型に対するmultiplex PCR法による分類を確立しており、従来までの血清型分類法よりより簡便に、また迅速に血清型を分類することが可能となっている。 2.急性中耳炎由来の肺炎球菌株における血清型分類 1で確立したmultiplex PCR法を、急性中耳炎患児より分離された肺炎球菌の血清型分類に応用し、従来までの抗血清による分類との比較検討を行った。すでに、急性中耳炎かん時より分離された肺炎球菌での血清型分類が確立されており、論文発表を行っている。さらに、本研究では、我々が確立したmultiplex PCR法を、PCR法による肺炎球菌の検出とともに、鼻咽腔スワブに直接応用している。従来までの培養同定では、肺炎球菌が検出されない症例においても肺炎球菌の検出と血清型同定が可能であるとともに、鼻咽腔において、血清型の異なる複数の肺炎球菌株が細菌叢を形成していることが解明されてきた。 3.全国サーベイランスによる肺炎球菌血清型分布の検討 1で確立したmultiplex PCR法を2003に行われた耳鼻咽喉科感染症研究会により行われた全国サーベイランスにて分離された肺炎球菌に応用し、血清型分類を行っている。
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