1.経鼻的母体免疫による母乳中インフルエンザ菌特異的抗体産生リンパ球の検討 インフルエンザ菌外膜蛋白P6をコレラトキシンとともに雌マウスに経鼻免役した後に交配し、新生児マウスを獲た後に、授乳母マウスの母乳中に抗インフルエンザ菌外膜蛋白P6特異的IgGおよびIgAが誘導されることがすでに判明した。現在、これらの母乳中よりリンパ球の分離を行うとともに抗体産生細胞の検出を行っている。 2.新生児の哺乳状態によるインフルエンザ菌特異的免疫応答の変化 インフルエンザ菌外膜蛋白P6をコレラトキシンとともに雌マウスに経鼻免疫を行った後に交配し、新生児マウスを獲る。出産後に(A)免疫母マウスが自身の仔マウスを育てる群、(B)免疫母マウスが、非免疫母マウス由来の仔マウスを育てる群、(C)非免疫母マウスが、免疫母マウス由来の仔マウスを育てる群、(D)非免疫母マウスが自身の仔マウスを育てる群の4群で、哺乳状態による新生児マウスのインフルエンザ菌特異的免疫応答の検討を行った結果、免疫母マウスによる授乳が新生児マウスにおける特異的免疫応答の維持に極めて重要であることが判明した。現在、これらの新生児マウスの脾臓よりリンパ球を分離し、母乳栄養による新生児マウスの全身免疫応答への影響を検討中である。 3.経鼻的母体免疫による新生児マウスの全身免疫応答への影響 免疫母マウスによる母乳栄養を受けた非免疫母マウス由来の新生児マウスでは、哺乳期間に伴い全身免疫応答が誘導されることが判明した。このことは、新生児期における特異的免疫応答の維持に免疫母マウス由来の母乳栄養が極めて重要であることが考えられる。さらに、この免疫母由来の新生児マウスが、P6抗原の刺激により抗体産生を行うかどうかについてさらに検討中である。
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