研究概要 |
59人の口腔舌癌(Stage I〜IV)においてCap43の発現を検討した。症例の背景はT1,2が31例、T3,4が28例、リンパ節転移陽性例が33例、遠隔転移が3例、局所再発例が11例、予後は生存が36例、死亡が23例である。方法はホルマリン固定された標本を切片標本としCap43抗体を用いて免疫組織染色を行った。判定は標本を検鏡し、任意の視野での核、細胞質、細胞膜での染色度を判定した。各項目の有意差はx2検定により検討し、以下のような結果を得た。 1. 59人の舌癌患者の58人(98.3%)にCAP43の発現を認めた。 2. CAP43の発現した細胞は一定の視野内に平均64.6%認めた。 3.細胞内のどの部分にCAP43が発現するかの検討では核が50/59例(84.7%)、細胞質が(++)56/59例(94.9%)、(+)2/59例(3.4%)であった。 臨床データとの比較では局所再発(p<0.05)と遠隔転移(p<0.01)とについて有意な関係を認めた。現在、免疫組織学的検討と臨床データとの評価を行なっており、CAP43の細胞質の染色度が強度であると遠隔転移・局所再発を防ぐ可能性があるのではないか、CAP43の細胞膜への染色密度が高いと局所再発を防ぐ可能性があるのではないか、などが示唆されている。そこでこの評価方法を模索しリンパ管浸潤についてCD34、脈管浸潤についてD2-40を免疫染色した。現在このデータを解析中である。
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