研究概要 |
セルロプラスミンノックアウトマウス(セルロプラスミンノックアウトマウスとC57BL/6Jマウスとを8世代継代させC57BL/6Jマウスの遺伝的背景をもつ。)をヘテロ同士で交配し同腹より産まれたマウスを繁殖させ,負荷をかけず自然な状態で12ケ月齢まで飼育した。 12ケ月齢のマウスを散瞳させ,眼底検査を行ったところ検眼鏡的にドルーゼンの散在を認めたが,数,形態においてワイルドタイプマウスと比較検討するも違いは認められなかった。またフルオレセインを腹腔内投与し,螢光眼底造影検査を行ったが,ともに脈絡膜新生血管は認めなかった。 またHE染色により病理組織学的に検討をしたが網膜に異常所見は認められなかった。緑内障性視神経障害による網膜神経節細胞の脱落を検討するため細胆数を比較したが,ワイルドタイプマウスと有意な差は認められなかった(ホモ:ワイルド261±9:272±5p=0.3575(n=5))。網膜組織の鉄染色をおこなったがワイルド,ホモタイプマウスともに網膜組織への鉄沈着は認めなかった。 さらに脈絡膜強膜flatmountを作成し,網膜色素上皮細胞に特異的なタンパクであるElastinに対する抗体を使用し免疫組織学に観察したが,ともに加齢性変化によると考えられる網膜色素上皮の形態に大小不同がみられるものの両者の間で違いはなく,脈絡膜新生血管も認めなかった。 結果として今回12ケ月齢のセルロプラスミンノックアウトマウスではワイルドタイプマウスと比較して加齢に伴う網膜への影響の違いは認められなかった。
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