2年目の目的は、モリス水迷路による光照射後のラットにおける視機能測定法の確立、網膜光障害に関連する遺伝子、染色体領域を探索、関連領域を狭めることであり、最終的に網膜光傷害感受性/耐性遺伝子を追究していくことであった。 まず、LEW系ラットとWKY系ラットでの異系統間における交配を行い(6ペア)、69匹のF1ラットを得た。その内の26匹は、光照射ラットにおけるモリス水迷路による視機能測定の方法確立の段階にあたり、データとしては適性を欠いたものであると判断したが、その後の方法・実験計画の確立に役立った。残りの43匹のデータから、23%が強度に視機能が障害されていた一方、28%が正常範囲を示していた。この傾向は、WKY系ラットと類似しており、WKY系が持つ綱膜光傷害感受性遺伝子が優性であることを示していた。そのため、この遺伝子座を絞り込むために、網膜光傷害-感受性を示したF1ラットとLEW系による戻し交配を行い、58匹のBC1ラットを作成した。58匹中2匹のみが光照射により重度の視機能障害を引き起こしたが、ほとんどが非照射と同様の正常な視機能を保持していたことがわかった。 マイクロサテライト解析については、現在進行中である。上記したように、目的としたBC1ラットの数が58匹中2匹と少なかった。このため、現在、BC2ラットの作成と平行して、新たにBC1ラットを作成することで、マイクロサテライト解析に用いる光障害感受性BC1ラットの数を増やし、網膜光傷害感受性遺伝子を含む染色体部位をより確実に絞り込もうとしている。
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