研究概要 |
この研究は、糖尿病網膜症の前段階としての糖尿病脈絡膜症に注目して計画された研究であるが、まずその足がかりとして、同じ脈絡膜での特異的な病変を呈し本邦でも症例数が増加する一方の、加齢黄斑変性に注目し様々な検討を行った。具体的には、加齢黄斑変性の中でも定義が明確なポリープ状脈絡膜血管症を有する症例において、光線力学療法後にその治療効果として視力だけでは測定できない自覚症状の改善について微小視野計(MP-1)を用いて報告した(Yodoi Y, Am J Ophthalmol.2007 in press)。また、同じくポリープ状脈絡膜血管症に伴うクラシック型新生血管の予後について存在する部位に着目し検討し(Tamura H, Br J Ophthalmol.2007 in press)、さらに同様にポリープ状脈絡膜血管症において観察される色素上皮剥離について、剥離の際ポリープ状病巣部が色素上皮と行動を同じくするのかという検討(Tsujikawa A, Am J Ophthalmol.143:102-111,2007)を行い報告した。 一方で動物モデルを用いた実験としては、高血圧モデルラットにおいて加齢とともに血液細胞-血管内皮相互作用が亢進すること(Miyahara S, Jpn J Ophthalmol.50(6):509-514(2006))、本邦で市販されている抗血小板薬であるシロスタゾールがラット眼における虚血再灌流障害を血液細胞-血管内皮相互作用抑制を通じて軽減すること(Iwama D, Journal of Thrombosis and Haemostasis.2007 in press)を報告した。
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