研究概要 |
加齢黄斑変性の発生機序を解明するために, モデルマウスでの加齢黄斑変性関連遺伝子の解析とマッピングを行う目的で, 異なるさまざまな系統のマウスと, C57BL/6とDBA/2Jの組換え近交系であるBXDマウスを主に用いて, 加齢黄斑変性のモデルとなるレーザー誘発脈絡膜血管新生マウスを作成し, 発生した脈絡膜新生血管を脈絡膜進展標本(フラットマウント)を作成して測定した。これを表現型に脈絡膜血管新生の量的形質遺伝子座(quantitative trait loci : QTL)解析を行った。Composite interval mappingによって新しいQTLを2番染色体と19番染色体に同定した。同部位には, 脈絡膜新生血管発生に影響を与えると思われる複数の候補遺伝子が存在しており, 今後この結果をもとに, 候補遺伝子の疾患発生への作用機序を解明するとともに, この発生機序に基づいた新しい治療の開発をすすめる計画である。 同じくマウスのレーザー誘発脈絡膜血管新生モデルを用いて、加齢黄斑変性のより安全な内服での薬物治療を確立していくために, 既に報告した多発性骨髄腫の治療薬である2-methoxyestradiol(2ME2)以外の治療薬についても研究をすすめており, 効果的で副作用の少ない薬剤投与濃度や投与方法について引き続き検討中である。また, 従来のモデルの問題点である吸収エネルギーが眼底の色素量に影響されないYAGレーザーを用いた淡色系マウスへのレーザー誘発脈絡膜血管新生モデルの確立を引き続き試みている。
|