前年度(H18年)の研究結果より、培養系の網膜未分化細胞であるR28細胞を用いたin vitroの実験系において、Wnt-9はグルタミン酸神経毒性などによる神経細胞死に対して、神経保護の作用を有し、それはcaspase-3の活性化の抑制を介していることが判明していた。Wntファミリーは共通してペプチド・シークエンスを有しており、基本的に分泌タンパクである。そのため、Wnt9/14の細胞外分泌後の行方を検討することを目的として、C末端HA-tagged Wnt9、ペプチド・シークエンスを削除したC末端HA-tagged Wnt9DN、それとHA-tagged controlvcctorを、293細胞に遣伝子導入した。24時間後に細胞を溶解し、全細胞溶解液をSDAG-PAGEした。ウェスタン・ブロットし、anti-HA antibodyを用いて、HA-tagged proteinを描出した。その結果、ペプチド・シークエンスが切断されそ細胞外に放出されたであろう活性型Wnt9/14は、再び再取り込みされている可能性が示唆された。さらに、Wnt9/14のタンパク機能をさらに詳しく解析するために、Wnt9/14の結合タンパクを同定する目的にて、HA-tagged Wnt9/14とHA-taggedcontro vectorを293細胞に過剰発現させ、抗HA抗体を用いて免疫沈降した。免疫沈降後のサンプルを、2次元電気泳動し、HA-tagged Wnt9/14過剰発現サンプルのゲルに特異的に得られるタンパク・スポットを、質量分析法を用いて同定した。その結果、Interferon-ind ucedprotein tetrapeptide repeats3およびnovel proteinが、Wnt9/14の結合タンパクであることが判明した。
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