PPARgammaは核内レセプターの一つで、近年in vitroではSmad系やNFkB系に対して抑制的に働くという報告がある。PPARgammaのリガンドとしてプロスタグランジシJ2やTroglitazoneなどが同定されている。またプロスタグランジンJ2はアラキドン酸代謝に関与する膜結合型プロスタグランジンE2合成酵素1(mPGES-1)の発現を抑えるという報告もあり、その消炎効果は従来のNSAIDよりも副作用発現が少ない可能性が指摘されている。マウス角膜アルカリ外傷モデルに対し、プロスタグランジンJ2(PGJ2群)の点眼を1日2回行ったところ、コントロール群と比較して投与群では角膜におけるマクロファージの浸潤が減少した。また、PGJ2群ではphospho NF kappa Bの核内移行が減少しており、このためマクロファージの浸潤が減少し角膜における炎症が減弱したものと考えた。また、実体顕微鏡下での角膜の透明性に関しては明らかな差はみられなかったものの、PGJ2群ではα平滑筋アクチンの発現細胞数が減少しており、mPGES-1やCOX2の発現も低下していた。これらの結果かr NF kaPPa BかTGFbによる角膜実質細胞への炎症反応をPGJ2が減弱させたものと考えた。今後さらにPPARgamma強制現後にPPARgammaリガンドを投与することによって消炎効果が増強されるかどうか検討する予定である。
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