研究概要 |
平成20年度は18.19年度に開発した眼優位性定量装置を用いて眼優位性の強さに影響する因子について検討した. 本検討は北里大学病院眼科を受診している矯正視力1.0以上の外斜視患者13名, 間欠性外斜視14名, 外斜視16名を対象として, 眼優位性の強さと眼位ズレ量の関係について検討した。眼優位性の評価は視野闘争時の各眼の自覚的視認時間を測定し, 優位時間を解析する北里大式眼優位性定量装置を用いた。本装置はSynoptophore(Clement Clark International)に取り付けた1対のレチノメーター(LAMBDA100 Retinometer, HEINE社), パーソナルコンピュータ, プリンタによって構成された。未屈折矯正下、被検者の優位眼と非優位眼の網膜に1対のレチノメーターを用いてハロゲン電球を光源とした45°と135°の格子縞(視野闘争刺激)を投影する。視野闘争刺激の空間周波数1.8c/deg(視力換算値0.06), サイズは5degである。今回の対象症例は全て1.0以上の症例で適切な屈折矯正下で行っており, 両眼の視力差や屈折の未矯正が眼優位性の定量結果に影響する可能性は除外されている.結果として, 外斜視および間欠性外斜視患者の眼優位性は斜位患者より強く, 有意差を認めた.外斜視および間欠性外斜視によって両眼単一視が妨げられるほど眼優位性が強くなることが示された. 弱視治療により両眼単一視が妨げられることに起因した外斜視化が生じる場合もある. 弱視患者に遮閉治療を行う場合, 眼位および眼位の影響に考慮して行う必要性が示唆された. また, これまでの眼優位性定量法の理論を基に, 小児検査に適した新たな眼優位性定量装置を試作検討した.
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