研究概要 |
シングルセルから作成した角膜上皮シートと成体マウス角膜上皮との表現型、増殖能、未分化度を比較する。継代する途中で失ったKeratin12の発現(RNA,タンパク両レベル)を角膜、および輪部実質に上皮を移植することによって取り戻せるのかを調べるため、以下の研究実施計画を実施した。 1.マウス正常角膜との比較 ケラチン、分化、未分化マーカーの発現(p63、Keratin12、ABCG2など)を比較したところ、マウス角膜正常上皮と比較し、Keratin 14の発現が強く、重層化した上層にまで強発現していた。その他p63、ABCG 2 の発現もタンパクレベルで強く認めた。しかしKeratin12の発現はRNA,タンパク両レベルで認めなかった。 上皮シートを細胞レベルにばらしたあとのコロニー形成能は、正常上皮よりも有意に多かった。また、マウスの上皮細胞は150継代以上の培養が可能であり、現在4年以上同細胞を培養している。この細胞はKlf4、Oct3/4といった未分化マーカーも発現をRNAレベルで確認している。このため、Keratin12は陰性ではあるが、なんらかの外的因子により、その発現を誘導可能と考えている。 2.マウス上皮シートをウサギ角膜へ移植 ウサギの角膜上皮を、輪部を含め、大きく擦過除去し、角膜輪部機能不全モデルを作成し、同時にマウス角膜上皮シート移植を施行したが、シートの生着は認めなかった。そのため、上皮シート移植後の祖織学的評価には至っていない。またここで作成する角膜輪部機能不全モデルは不安定なため、それを改善する動物モデルを作成したいと考えている。
|