研究概要 |
【目的】霊長類の角膜内皮細胞は生体内ではほとんど増殖しない一方で、生体外で適切な条件で培養することにより増殖させることが可能である。今回、カニクイザルの培養角膜内皮細胞におけるDNA/RNA同時測定による培養角膜内皮細胞の細胞周期解析を行い、さらに細胞周期制御分子の発現を免疫組織化学的手法により検討したので報告する。 【方法】カニクイザル培養角膜内皮細胞を継代培養し、1サンプル当たり3000個の細胞をHoechst33342とPyronin Yにて染色後、In Cell Analyzer 1000^<[○!R]>を用いてDNAとRNAの同時測定を行い細胞周期解析を行った。また、p16、p21、p27、p53、リン酸化p53に対する免疫染色を行い、角膜内皮細胞における細胞周期制御分子の発現を検討した。 【結果】In Cell Analyzer 1000^<[○!R]>により培養角膜内皮細胞の細胞周期の解析(G0期:6%、G1期:89%、S,G2,M期:6%)が可能であった。また、免疫染色によりすべての細胞にp16、p21、p27の発現が認められた。p53の発現が認められたが、リン酸化p53の発現は認められなかった。 【結論】カニクイザル角膜内皮細胞の培養条件下における細胞周期解析が可能であった。また、細胞周期制御分子を介して細胞増殖が抑制されていることが示唆され、霊長類の角膜内皮細胞増殖を制御する因子の解明に有用であると考えられた。
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