研究概要 |
塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)は創傷部位に噴霧するタイプのものが実用化されており、褥創や難治性皮膚潰瘍の治療に有効であることが実証されているが、生体内での半減期が短いため、その効果を維持するためには頻回の投与が必要であり、また使用期限も2週間と短い。そこで、我々はより利便性の高いbFGFを使用した創傷被覆材の実用化を目指し、bFGFを徐放化するbFGF含有ゼラチンシートを作製し、一定の創傷治癒効果を確認することができた(Effects of bFGF incorporated into a gelatin sheet on wound healing, Miyoshi Mら,Journal of Biomaterials Science Polymer Eaition,2005)。今回は、bFGF含有ゼラチンシートの創傷治癒効果をさらに高め、この実験データにもとづいて臨床適用に踏み切る予定である。また研究期間中に1、bFGF徐放性ゼラチンシート中のbFGF濃度の相違による血中のbFGF濃度と徐放期間、2、bFGF徐放性ゼラチンシート中のbFGF濃度の相違による皮膚欠損部位の上皮化までの期間を明らかにする予定として研究をすすめてきた。 これまで、マウス1匹あたり100μgのbFGFを含有したゼラチンシートを使用し、その創傷治癒効果を確認ずみである。今回はマウス1匹あたり200μgのbFGFを含有したゼラチンシートを使用し、その組織を採取後創傷治癒効果を検討した結果、100μgに比較して明らかな上皮再生、肉芽増生効果を認めなかった。このことから、創治癒効果のためのゼラチンシートに含有するbFGFの量はdose dependentではないことが明らかになった。
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