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2006 年度 実績報告書

重症患者における多臓器不全発症のメカニズムの解明

研究課題

研究課題/領域番号 18791337
研究機関滋賀医科大学

研究代表者

藤野 和典  滋賀医科大学, 医学部, 助手 (70402716)

キーワード多臓器不全 / Intensive insulin therapy / 細胞融合
研究概要

過大侵襲術後や多発外傷後、重傷感染症等の重症患者は集中治療を必要とし、現代の医学をもってしても未だに高い死亡率を呈している。このような重症患者においては、炎症性サイトカインやカテコールアミン、グルカゴン、コルチゾールが過剰分泌され、糖新生を促進し末梢のインスリン抵抗性を増加させ、高血糖状態となることが知られている。近年Intensive insulin therapyと呼ばれる重症患者の血糖を80mg/dl以上、110mg/dl以下にコントロールする治療法が注目されている。機序については未だ不明ではあるが、この治療法により死亡率を減少させるだけでなく、血液透析が必要になった率、人工呼吸器の使用期間、輸血率、末梢神経障害、高ビリルビン血症、敗血症が生じた率のいずれも優位に減少させたと報告されている。我々はこのことから、重症患者が多臓器不全に進行する機序には、高血糖状態が関与すると考え、糖尿病の研究で近年話題となっている、骨髄よりの異常細胞が各臓器細胞へ細胞融合する現象が関与しているとの仮説を立て、本研究を行った。
まず、糖尿病の既往のない多臓器不全患者の肝生検、骨髄検査の標本を、抗インスリン抗体を用いて免疫染色を行い、糖尿病の既往のある多臓器不全患者の肝生検、骨髄検査の標本との比較を行った。糖尿病患者にて骨髄、肝臓にインスリン陽性細胞が出現していることはすでに報告されている通りであったが、糖尿病の既往のない患者においても骨髄、肝臓に多数のインスリン陽性細胞を認めることが出来た。またそれらの細胞の殆どすべては抗TNF抗体による染色にても陽性であった。これらのことより多臓器不全患者の各臓器において、骨髄よりの異常なインスリン産生細胞が各臓器細胞へ細胞融合し、TNFを産生していることが多臓器不全の一つの因子となっている可能性が高いと思われる。
今後も、多数の多臓器不全患者での様々な臓器でのインスリン産生異常細胞の発現を検索し、この現象と多臓器不全との関連を深め、多臓器不全のメカニズムの解明に努力を続けていきたいと考えている。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2006

すべて 雑誌論文 (3件)

  • [雑誌論文] Acylated ghrelin and des-acyl ghrelin exert different effects on the gastrointestinal motility in conscious rats.2006

    • 著者名/発表者名
      Fujimiya M, Asakawa A, Fujino K, Chen CY, Inui A
    • 雑誌名

      International congress series 1287

      ページ: 361-367

  • [雑誌論文] Wood creosote prevents CRF-induced motility via 5-HT(3) receptors in proximal and 5-HT(4) receptors in distal colon in rats.2006

    • 著者名/発表者名
      Ataka K, Kugue T, Fujino K, Takahashi T, Fujimiya M
    • 雑誌名

      Auton Neurosci Epub

  • [雑誌論文] Peptide YY3-36 and pancreatic polypeptide suppress food intake.2006

    • 著者名/発表者名
      Asakawa A, Uemoto M, Ueno N, Katagi M, Fujimiya M, Fujino K, Kodama N, Nanba H, Sakamaki R, Shinfuku N, Meguid MM, Inui A
    • 雑誌名

      J Gastroenterol Hepatol 21(9)

      ページ: 1501-1502

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公開日: 2008-05-08   更新日: 2016-04-21  

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