1.上内軟骨性骨化では骨側から軟骨側への血管侵入によって骨化が開始される。それ故に肥大軟骨細胞層に発現する血管新生因子CCNファミリー2/結合組織成長因子(CCN2/CTGF)及び血管内皮細胞成長因子(VEGF)の相互作用を調べる事は重要である。そこで、まず始めに胎生18.5日マウス尾椎成長板の血管侵入直前の肥大軟骨細胞層におけるCCN2/CTGFとVEGFの局在を免疫染色で調べた。その結果、両因子の局在が一致し、hypoxia-inducible factor(HIF)-1alphaの一部は核内に見られた。 2.CCN2/CTGF欠損マウスの肋軟骨から軟骨細胞を分離し、VEGFの発現量を定量PCR及びWestern blot法で解析すると、遺伝子レベル及びタンパク質レベル共にVEGFの発現量の減少が見られた。 3.ヒト軟骨細胞様細胞株HCS-2/8にCCN2/CTGF発現ベクターを遺伝子導入し低酸素培養条件下でVEGF遺伝子の発現量をNorthern blotで解析するとVEGF遺伝子の発現レベルの上昇が見られた。 4.組換えCCN2/CTGFタンパク質(rCCN2/CTGF)でHCS-2/8細胞を刺激すると、HIF-1alpha遺伝子の発現量の増加が確認されたが、HIF-1alpha mRNAの安定牲には変化はなかった。 5.rCCN2/CTGFでHCS-2/8細胞を刺激した状態でVEGFプロモータのhypoxia-response element(HRE)を組み込んだレポータプラスミドを遺伝子導入すると、そのプロモータ活性の上昇が見られた。 これらの結果から肥大軟骨細胞から産生されたCCN2/CTGFがHIF-1alpha遺伝子の発現レベルを上昇させ、このHIF-1alphaが核内移行しVEGF遺伝子の発現量を調節していることが示唆された。
|