研究概要 |
1.ビオチン測定系の確立 ビオチン化ウシ血清アルブミンおよび酵素標識アビジンを用いた競合ELISA法によるビオチン測定系を確立した(測定感度は10,000〜3nM)。 2.ビオチン欠乏マウスの作製 BALB/cマウス(♀、4週齢)をビオチン欠乏飼料により8週間飼育することにより、ビオチン欠乏マウスを作製した。同マウスでは血清中ビオチン濃度が正常マウスに比較して有意に低値であった。さらに、ビオチン欠乏マウスでは、大腸菌内毒素(LPS)投与による血清中tumor necrosis factor (TNF)-α濃度の上昇が、正常マウスに比較して有意に高値であった。 3.ビオチン欠乏培養系の確立 ビオチン除去培地はメーカー特注により作製した。また、ウシ胎児血清(FCS)中のビオチンは、アビジン結合アガロースと4℃で一晩反応させることにより除去した。これら、ビオチン除去培地およびビオチン除去FCSを用いてビオチン欠乏培養系を確立した。 4.ビオチン欠乏細胞株の作製 ビオチン欠乏マウスではLPS刺激によるTNF-α産生能の増強が示されたことから、生体内においてLPSに反応する主要な細胞であるマクロファージに対するビオチン欠乏の影響を解析した。まず、マウスマクロファージ様細胞株であるJ774.1細胞をビオチン欠乏培養系で4週間培養し、ビオチン欠乏J774.1細胞を作製した。 5.各種免疫反応に対するビオチン欠乏の影響の解析 ビオチン欠乏J774.1細胞をLPSで24時間刺激培養し、培養上清中のTNF-α濃度を測定した。その結果、正常J774.1細胞に比較して有意に高値なTNF-α産生が認められた。さらに、TNF-α同様、主要な炎症性サイトカインであるinterleukin-1βの産生増強も認められた。
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