本年度は顎骨海綿骨の骨梁構造を評価するためのアルゴリズムの開発をするため、以下のとおり実施した。 歯科用CTから得られる顎骨海綿骨骨梁の像は、大域的に観ると大きな一つの連結成分であると考えられる。しかし、離散空間内では有限ボクセル数に分割された画像の集合体として表示される。したがって、歯科用CTから得られる三次元画像は二次元画像を多数積み上げて構成されたものと考えることができる。 そこで、以下の処理を行うアルゴリズムを作成している。 (1)CT像の多断面二次元画像を入力する。 (2)画像全てに対しスケルトン画像処理を施す。 (3)画像を全て二値化する。 (4)骨断面像と考えられる連続した全てのピクセルに対してラベリングをする。 (5)連続するラベルn枚のうち、連続するk(1≦k≦n)枚目の画像とk+1枚目の画像について骨梁断面の重積があるか否かを評価する。 (6)全断面において、(4)(5)の処理を行うことで重積の有無を評価し、上下的に連続している全てのピクセルに対して再ラベリングする。 以上の画像処理により、連続した標本頭蓋骨の下顎骨の骨梁構造を抽出することができた。 得られた骨梁構造の微細構造画像のラベリングされた独立したピクセル塊の全ピクセル数を計測することにより、骨梁の皮質骨内での占有範囲を評価することができると考えられる。その他、二次元の各断面においてStar Volume法、Run Length法など、骨梁の方向性、複雑性の評価をすることのできるアルゴリズムを開発中である。 全てのアルゴリズム完成後、被験者にて歯科用CT像、パノラマX線写真、腰椎側面X線写真の撮像、DXAによる骨密度検査を行い、それぞれの骨の骨梁微細構造の評価結果と、骨密度との相関を検討する。
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