昨年度に引き続き、TNF-α阻害剤の細胞における活性を中心に評価した。昨年度はPgを中心に評価を行ったが、Pgの細胞膜構成成分は他の歯周病原菌とは異なる活性を持っていることが報告されていることから、Aaを用いることで評価の一般性を持たせた。TNF-αの産生はPgでは弱かったもののAa菌では反応性良く産生が認められ、ウエスタンの結果から、膜結合性タンパクの発現は認められるものの、培養上精中にTNF-αの産生が認められなかったことより、TNF-αの産生には影響を与えず、TACEの酵素活性を阻害していることが明らかとなった。この結果は、Pgと同じである。 これらから、次に歯周病原菌が心臓疾患に与える影響を評価するため、ラットモデルの構築を試みた。自然発症モデルを立案し、歯周病原菌Pgを塗布することで、歯周病態モデルが構築可能である可能性を示した。このモデルを修飾することで、歯肉炎症状態を擬似的に構築し、歯肉から血流に病原菌を流入させることで、心臓各部に対する付着や、病原因子の発現、付着細胞の炎症や各種分子生物学的評価が可能となる。来年度は、この評価系を用いて各種原因菌の複合的な相互作用による影響などを評価していく。
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