【リンパ節の解剖学的検索】 まず、基礎実験として、白色家兎の舌担癌モデル(VX-2細胞)を作製した。移植1、2、3、4週間後に経耳静脈的に墨汁とハロゲン化銀(AgI)溶液を注射し、脈管系の分離染色をおこなった。その後、舌および顎下・頸部リンパ節を一塊として摘出して、肉眼的な観察をおこなった後、パラフィン切片作製およびHE染色をおこなった。 その結果、舌半側浸潤例では約5割でリンパ節転移を認め、正中を超えて浸潤を起こした例では、約7割でリンパ節転移を認めた。 【白色家兎における頸部センチネルリンパ節造影手法の確立】 移植後3週間の舌癌病巣に油性造影剤リピオドールを浸潤注射し、20、40、60、80分ごとに屠殺して頭頸部を体部より離断し、固定のために急速に冷凍した。実験用pQCTを用いて舌および顎下・頸部リンパ節の撮像をおこない、同時に造影されたリンパ節のマッピングをおこなった。マッピングされたリンパ節を切り出し、パラフィン切片作製およびHE染色をおこなった。 その結果、20、40分後に固定した実験群で造影効果が高く、これらの群ではCT上で造影されたリンパ節のうち、約3割で病理組織学的リンパ節浸潤を認めた。しかし、腫大リンパ節の全検索をおこなった基礎実験よりも舌の浸潤ステージに対するリンパ節浸潤率が低く、センチネルリンパ節造影法として、鋭敏度改善の必要性が示された。 【67-Ga投与による転移リンパ節の描出】 次年度以降の18F-FDGによる転移リンパ節描出の予備実験として、舌の腫瘍周囲への67Ga投与をおこなった。24時間後に動物を屠殺して、顎下・頸部リンパ節を摘出し、コンタクトオートラジオグラフィーをおこなった所、バックグラウンドと分離され、腫大リンパ節が描出された。また、パラフィン切片作製およびHE染色により、描出されたリンパ節に転移腫瘍細胞が認められた。
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