研究課題
平成18年度の研究成果より、歯髄炎と診断された歯髄においてCCL20や炎症性サイトカインの発現が認められ、う蝕関連細菌がマクロファージからの様々なサイトカイン産生を誘導することが明らかとなった。そこで第二段階として、う蝕関連細菌あるいは炎症性サイトカインが血管内皮細胞からのCCL20や接着分子の産生に及ぼす影響を検討することを目的とし、ヒト臍帯静脈血管内皮細胞(HUVEC)をStreptococcus mutansあるいはIL-1β、TNF-αで刺激し、RT-PCRおよびELISAを行い、遺伝子およびタンパクレベルでの解析を行った。その結果、S.mutans刺激によりHUVECにおけるCCL20の遺伝子発現の誘導およびタンパク産生の上昇が認められた。また、IL-1βあるいはTNF-α刺激によってもCCL20の発現誘導が認められた。さらに、VCAM-1の遺伝子発現において、S.mutansやIL-1βあるいはTNF-α刺激によりその誘導が認められた。次に、炎症時における歯髄細胞からのCCL20産生について検討することを目的とし、正常歯髄から分離培養した線維芽細胞を用いて炎症性サイトカイン刺激によるCCL20産生についてRT-PCRとELISAを用いて解析した。その結果、IL-1βあるいはTNF-α刺激により線維芽細胞からのCCL20およびIL-8の遺伝子発現の誘導およびタンパク産生の上昇が認められた。本研究により、CCL20はS.mutansの刺激を受けたマクロファージから産生されるとともに、そのマクロファージから産生された炎症性サイトカインを介して、歯髄線維芽細胞や血管内皮細胞からも産生されることが明らかとなり、歯髄炎の病態形成におけるCCL20の役割の重要性が示された。
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