研究概要 |
これまで我々は、ラット脛骨ヘインプラント埋入時に高脂血症治療薬であるスタチンを全身投与すると、インプラント周囲の新生骨量が有意に増加することを報告した。また、ラット脛骨に作製した骨窩洞に高脂血症治療薬であるスタチンを局所投与したところ、骨形成の亢進や骨形成マーカー増加、骨吸収マーカー減少を確認した。このことより、スタチンの局所投与は、骨形成を促進できる可能性が示唆された。スタチンはHMG-CoA reductaseという酵素を阻害することにより骨形成を亢進させることが明らかになっている。このことより、HMG-CoAreductaseの効果を抑制する他の手法があれば同様の結果が期待できると考え、RNA干渉(RNAi)を導入した本研究を企画した。本年はRNAiによってHMG-CoAreductase合成を抑制した場合の骨形成効果に関して、・bone nodule形成(alizarinredS染色、カルシウム量定量)・骨形成マーカー(アルカリフォスファターゼ、BMP-2,オステオカルシン)計測、骨芽細胞のシグナル伝達関連物質(RUNX2)の検索(リアルタイムPCR法)を行った。その結果、RNAiによってHMG-CoA reductase合成の抑制が観察できた。また、bone nodule形成は認められなかったが、骨形成マーカーの上昇が観察されたため、siRNAの設計や試適濃度の見直しを図ることにより、より効果的な骨形成を図るべく研究を進めていく予定である。
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