研究概要 |
チタン銅(10%含有)合金が、チタンの融点低下ならびに研削性向上の観点から有用なことは既に報告している。しかしながら歯科鋳造用として臨床応用するには機械的性質、特に延性の改善が必須である。研究代表者らは昨年度、パラジウム添加量7.5%(Ti-10.0Cu-7.5Pd合金)および10.0%(Ti-10.0Cu-10.0Pd合金)としたTi-Cu-Cr三元系合金を試作し、機械的性質評価を行ったところ、延性の向上を認め歯科臨床に使用する上での充分な機械的性質を具備するものと報告した。 本年度においては、現在までに考案した合金(Ti-10.0Cu-Cr三元系およびTi-Cr二元系)を臨床応用する上で重要な鋳造性の評価を主に行った。 鋳造性の評価は、メッシュパターン鋳造体の鋳込み率を、鋳込まれたメッシュの交点の数をカウントし、元のメッシュパターンの交点数で除した値をパーセントで求め鋳込み率としてした。 その結果、Ti-10.0Cu-Cr三元系合金鋳造体では、Cr添加量(1.0,3.0,5.0,7.5,10.0mass%)にかかわらず、鋳込み率は50〜60%の範囲であった。一方で、Ti-Cr二元系(Cr:15.0,20.0mass%)では、90〜100%と高い鋳込み率を示した。今回は、鋳造条件をすべて同一にして行ったため、Ti-10.0Cu-Pd系では低い鋳込み率を示したと考えられるので、異なる鋳造条件での評価も行う予定である。
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