口蓋粘膜には、多くの感覚受容器が存在する。口蓋粘膜の機械的感覚は、摂食・嚥下において、舌と協調して食塊の大きさや性状のセンサーとして重要な役割を担っている。そこで、我々は、口蓋を被覆しても義歯装着者がより快適に摂食・嚥下を行える義歯を探求することを目的に研究を行った。 義歯により口蓋の感覚受容器を遮断することで摂食・嚥下機能に及ぼす影響を明らかにするため、口蓋被覆による嚥下時の舌圧の影響、口蓋被覆と飲み難さの関係、被覆の有無と食品認知の関係および義歯床の口蓋部表面形態と食品認知の関係について研究し分析を行った。また、口腔内環境の変化がそれに影響を及ぼすかを明らかにするため、口蓋形態や口腔粘膜の粘弾性につても検討した。これらの結果より、嚥下時の舌圧においては被覆の有無で変化は認めないこと、口蓋の被覆によって飲み難さを感じるがその度合いには個人差があること、義歯床の口蓋部表面形態は食品認知能に影響を及ぼすこと、加齢により粘膜の性質が異なること、口蓋形態には影響を受けないことが解明された。研究結果を論文にまとめ紙上発表した。
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