研究概要 |
本研究の目的はインプラント周囲炎および歯周炎患者における唾液中抗菌タンパク質であるシスタチンおよびリゾチームを定量し、歯周病関連綱菌の定量も併せて行い、両者の相関性を調べ解析することである。 また、我々は唾液から測定可能な上記の新しい2つの方法に加え、口腔粘膜の水分量の測定データ、骨吸収および骨代謝マーカーの測定データ、糖尿病マーカーの測定データ、歯周病に関する臨床データを採取し解析を行い、インプラント治療の予後を判断するうえで重要なインプラント周囲炎のリスク度検定のシステムを開発する予定である。 現在の所、歯周炎患者および健常者における唾液タンパク質量の解析が終了した。 歯周炎患者のシスタチンSA,C量の平均はそれぞれ0.063±0.026mg/ml,2.27±1.20であり,健常者のシスタチンSA,C量の平均(0.082±0.024mg/ml,3.79±1.28)に比べて、有意に低かった(Mann-Whitney U test,P<0.05).歯周炎患者,健常者のリゾチーム量の平均はそれぞれ16.75±15.31ug/ml,30.03±15.03ug/mlであり,健常者と比べて歯周炎患者のリゾチーム量が有意に低かった(Mann-Whitney U test,P<0.05). 平成20年2月現在の研究成果は以上であり、本研究の成果はJournal of Periodontology(79,2,316-322,2008)に掲載済みである。 今後はインプラント周囲炎患者における唾液タンパク質のデータ、歯周病細菌検査のデータ等の結果をまとめ、論文にする予定である。
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