研究概要 |
平成18年度は以下の実験に着手するための素地を整えた。 (1)単一神経細胞からの細胞内電位誘導法を用い,咀嚼機能障害モルモットの腸管神経細胞膜電位に与える影響について検討する。モルモットの交合面にレジンを添加し,交合高径を変化させ,咀嚼障害モデルを作製する。咀嚼障害を起こしたモルモットから摘出した結腸の標本を用いて,アウエルバッハ神経細胞,とくにAH細胞と呼ばれる神経細胞の細胞内電気活動を記録する。これらの変化が正常な交合のモルモットと比較してどのように変化しているかを被殻検討する。特にAH細胞に特徴的に認められるカルシウムイオンを介した電位の変化について検討する。また,神経叢内の神経節間神経束を刺激し,シナプス電位を発生させ,この時に観察できる活動電位がどのように変化するかも検討する。さらに,神経細胞内カルシウムストアに作用する薬物,細胞膜のカルシウム依存性カリウムチャネルに作用する薬物を用いて,薬理学的検討を加える。 (2)活性酸素種の消去剤(ラジカルスカベンジャー)等を用い,活性酸素種が腸管運動障害にどのように影響を与えているのかを,電気生理学的,薬理学的に検討する。用いるラジカルスカベンジャーは,スーパーオキシド・アニオン・ラジカルを消去するスーパーオキシドディスムターゼ(SOD),H_2O_2を消去するカタラーゼ,また,傷害性の最も高いと言われるヒドロキシルラジカルを消去するDMSOや,鉄をキレートしてヒドロキシルラジカルの発生を防ぐディフェロキサミンなどである。これらの薬物をin vivo, in vitroで投与して,検討を加える。
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