研究概要 |
被験食品としてのごはんの開発 被験食品に関しては,特に老人は,慣れない食品での咀嚼評価には非常に困難をきたす.日本人の主食であり,毎日食する米飯を用いた咀嚼評価を目指す.被験食品としての寿司飯冷凍しゃり玉の物性の安定性は確認できた.また,炊飯器で炊飯した物性の安定性はメーカーの違いに関わらず,炊飯直後は安定していた. 摂食・咀嚼・嚥下障害をも見据えた検査項目の整理 口腔内状態を把握する目的で,義歯の有無,残存歯とその状態,Vertical stopの有無,咬合状態の把握,歯周病の重症度また歯垢の状況などを,簡易に記入できるよう検査用紙を作成した.現在,摂取している食事の質,量に関してのアンケートを作成した. 咀嚼筋の筋振幅からみた咀嚼回数による咀嚼機能評価方法の確立 介護施設には,非協力者も存在し,歯科医師の誰でもどこでも簡単に行うことのできる検査方法の確立を目指すため,咀嚼回数の把握には,顎関節部皮膚面の触診により得ることとした.咬筋の振幅による咀嚼回数の計測結果と顎関節部皮膚面の触診による咀嚼回数の計測結果に差異は認められなかった. 成人健常有歯顎者30名における米飯10gの咀嚼回数は,15.2±2.3回であった.咀嚼障害を訴えない高齢者有歯健常者5名における米飯10gの咀嚼回数は,17.4±1.5回であった.咀噛障害を訴える高齢者有歯健常者5名における米飯10gの咀嚼回数は,24±7.7回であった.このことにより,米飯10gの咀嚼回数の測定により簡易な咀嚼機能評価が可能であり,咀嚼機能の精査対象者を把握することが可能となりえることが示唆された.
|