研究概要 |
1.細胞凝集による幹細胞の分離・細胞分化の解析 骨・軟骨発生の初期において間葉系細胞が凝集した後に基質を分泌し、分化が行われる。インテグリンなどの接着分子は幹細胞において、強く発現しており、細胞凝集、また、増殖や分化において重要であり、また、3次元的な環境が骨・軟骨分化を促進すると報告されている。本研究はこれをin vitroにおいて再現しようとするものである。そこで,細胞の凝集を促進させる旋回培養法を利用した。細胞の選択的な分離の確認および凝集細胞の細胞分化に関しての検討をウシおよびヒト骨髄間葉系細胞を用い、フローサイトメトリー、PCR、免疫染色などを用いて解析した。旋回開始後,数時間で細胞は凝集し始め、直径300pmほどの細胞と自ら分泌するマトリックスのみで構成される細胞凝集塊が大量に形成された。細胞凝集塊は選択的に骨髄間葉系細胞中の小型な細胞から形成されていた。旋回培養法にて骨分化培地を用い,骨髄単核細胞を凝集塊として培養することにより骨分化誘導が可能であり,軟骨分化培地を用いることにより,軟骨分化誘導が可能であった。また、単層培養法に比べ旋回培養法の方が分化が促進された。 2.培養骨の実験動物を用いた移植実験 in vitroにおける実験の結果を踏まえ、実験動物(ヌードラット)を用い、移植実験を行った。頭蓋骨骨欠損モデルを用い、旋回培養法にて形成される多数の細胞凝集塊(マイクロ組織エレメント)を移植し、4-8週後に組織学的に確認した。移植の際、三次元組織は操作性がよく局在が容易であった。組織学的に三次元組織移植群は骨欠損部に骨形成が見られ、対照群ではほとんど骨形成はなく、線維組織が形成されていた。
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