肥大軟骨のマーカー遺伝子であるヒトColXプロモーターをクローニングし、その断片を組み込んだルシフェラーゼ・レポーターコンストラクトの作成を行い、このレポーター遺伝子を用いて基本転写活性の評価を行った。このプロモーターのdeletion constructを種間で保存された領域を考慮して数種類作成して、転写制御に関するresponse elementやsilence elementの同定を行った。レポーターアッセイのホスト細胞はマウステラトカルシノーマ由来未分化間葉系細胞株ATDC5を用い、エフェクターは軟骨・骨芽分化のmaster regulatorである転写因子Runx2を利用した。その結果、Runx2はヒトColXプロモーターの転写活性を著しく増弾することを確認した。さらに活性を維持するための最小単位までの絞り込みを行ったところ、転写開始点の-89bpから-60bpがRunx2のCore responsive element(TGAGGG)であることを同定した。Runx2のCore responsive elementへの変異体やその配列をタンデムにつないだconstructを作成し、高い転写活性を示すことを再確認した。さらにEMSA(Electrophoretic mobility shift assay)やChromatin immunoprocipitation(ChIP)アッセイではIn vivo & In vitroの両方で、Runx2のColXプロモーターへの特異的な結合を示すことができだ。さらに、同定したCore responsive elementを含む転写制御部位を4コピー直列につなげた合成プロモーターにブラストサイジン耐性遺伝子を組み合わせたプラスミドを作成し、ATDC5に導入して安定誘導発現細胞株を樹立した。この細胞株を用いてRunx2 Core responsive elementを含む転写制御部位に結合する蛋白の同定・解析を行った。
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