本年度は、その目的と実施計画に従い、以下の段階まで研究を遂行した。 1.リンパ管内皮細胞の培養 ヒト皮膚微小血管内皮細胞(HMVEC)の中に血管内皮細胞(BEC)とリンパ管内皮細胞(LEC)が混在している。リンパ管アーカーであるpodoplaninの抗体を用い、LECを分離し、培養を行った。また、申請段階には発売されていなかった市販培養細胞を購入し、より効率的な培養を行った。 2.リンパ管内皮細胞三次元培養による腫瘍リンパ管新生能の検定 分離培養したヒトリンパ管内皮細胞をわれわれが行っている血管内皮細胞三次元培養法を応用し、三次培養を行い、口腔がん細胞培養株におけるリンパ管新生能を定量評価を試みたが、三次元培養は血管新生能の検定に用いたものの転用で、リンパ管新生能の検定にはやや難があり、安定した結果を得るまで次年度に継続が必要になっている。 3.発現調節領域の構造と機能を、分子生物学的・細胞生物学的手法で明らかにする。 (1)プロモーター解析 発現調節領域の同定を行う。クローニングした上流配列が確かにプロモーター活性を示すかどうかをレポーター遺伝子発現アッセイによって調べた。 (1)-A レポーター遺伝子発現アッセイ ルシフェラーゼアッセイ 1)VEGF-CcDNAのプロモーター領域を含む部分をルシフェラーゼベクターに組み込んだ。 2)リン酸カルシウム法を用いて転移能力の異なる数種類の口腔癌細胞に導入した。 3)それぞれの細胞により活性の差を検討した ただし、口腔がん細胞への遺伝子導入操作が不安定で、次年度はさらに効率のよい方法を検討する必要がある。 VEGF-C発現調節領域の同定 プロモーター解析の一部が終了し、欠失変異体の作成段階にある。
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