これまでに、3次元CT画像から‘誤差なく・簡単に'頭蓋骨の基準点(オルビタ、ポリオン)を選択するアルゴリズムを開発し、基準平面(フランクフルト平面など)を作成できる機能を開発してきた。今年度は、3次元CT画像から頭蓋骨の中心に相当する基準点(セラ、バジオンなど)を‘誤差なく・簡単に'選択するアルゴリズムを開発し、フランクフルト平面などの基準平面の中心座標を解剖学的中心点(セラ)、および頭蓋骨運動の中心点(バジオン)などに設定可能となった。さらに、梨状口周囲の基準点(前鼻棘など)を‘誤差なく・正確に'選択可能とし、頭蓋骨の矢状面に存在する三点以上(セラ、バジオン、前鼻棘など)から平面を作成可能とした。以上により、コンピューター画面上の3次元CT画像から‘誤差なく・簡単に'頭蓋骨の基準点を選択可能となった。さらに中心点を持つ基準平面を作成することにより、頭蓋骨の基準化および定量的解析が可能となった。 次に、実際の下顎骨骨切り術をコンピューター画面上で擬似体験可能とする骨切り術シミュレーション機能を開発した。具体的には、コンピューター画面上でリンデマンバーや骨ノミそしてレシプロケイティング・ソーを使用して下顎骨骨切り術を行い、骨切り線(面)を確認できる機能を開発した。この機能には、下顎骨を構成するポリゴンを特定の断面で切断し、切断した新たな断面にポリゴンを作成するアルゴリズムを含んでいる。上記の機能により、術前に骨切り術を疑似体験でき、術前シミュレーションに利用可能となる。さらには、経験の浅い術者のトレーニングとしての利用も可能となる。
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