これまでに、3次元画像から'誤差なく・簡単に'頭蓋骨の基準点(オルビタ、ポリオン、前鼻棘など)を選択するアルゴリズムを開発し、基準平面(フランクフルト平面など)を作成する機能を開発した。さらに、解剖学的中心点(セラ)や頭蓋骨の運動中心点(バジオン)を'誤差なく・簡単に'選択可能とし頭蓋骨の基準化および定量的解析を可能とした。今年度は下顎骨の形態的特徴(下顎頭、筋突起、下顎切痕、下顎角、下顎下縁、オトガイなど)を連続した線として'誤差なく・簡単に'選択可能なアルゴリズムを開発した。これらのアルゴリズムを用い、顎変形症患者における基準点などの形態的特徴を捉えた3次元セファログラムを作成することにより3次元的なねじれを定量的に評価可能とした。また、実際の上顎骨骨切り術および下顎骨骨切り術をコンピューター画面上で疑似体験可能とする骨切り術シミュレーション機能を開発した。さらに、このアルゴリズムを応用し口腔癌患者に対して腫瘍切除術を施行する際に切除する下顎骨の形態的特徴線を'誤差なく・簡単に'選択し、再建する骨の形態モデルをCAD/CAMを利用することにより形成した。この機能を用いることにより、採取する皮弁の選択および皮弁の形態形成が可能となった。今回開発したアルゴリズムを用いることにより顎変形症の形態的特徴を捉えること以外に顎顔面外傷での骨折線の選択や口腔癌が存在する部位を3次元的に選択することが可能となり、複雑な形態をした頭頸部の手術を施行する際の3次元的診断および手術シミュレーションが可能になると考えられる。
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